剣のまほろば5白鳳
最終章 白鳳の章は読み方があります、何回読んでも構いませんが必ず一度は付録を使い寝る前に寝床の中で読んで下さい、そして自分の師匠の一番印象深い姿を思い浮かべて下さい、◆はご自分の師匠を当てはめて下さい。
夢殿とは夢のとある、場所。
ふと夢殿を見下ろすと三人の男が楽しそうに囲炉裏を囲んで話し込んでいる様子が見える内容はこんな感じだ。
直心影流免許の勝海舟は、40歳年長の白井に手ほどきを受けたことがあった。
◆「初めまして勝さん、白井享先生は強かったですか?」
勝「うむ白井先生の剣法は、大袈裟にいうなら、一種の神通力とでもいうのか、その白刃をひっさげて道場に立つや、凛然、神然、犯すことのできぬ神気というか、そういうものが刀尖よりほとばしり、本当に不可思議な感であったよ。おいらたちは、とてもその真正面には立てなかった」
白井「ははは、勝よ、それはな、お前さんが並のものより相当つかうからだよ、そこまで見えるということはな、我が心中の深奥より湧きでる赫機(ノビ)を一つ残らず感じているからさ。」
勝「では白井先生、一体どうすれば先生のようになれるのでしょうか?」
白井「そうさな、まずは六つの伝を心得よ、良いか?忘れる事三つ、体得する事三つだ。」
◆「書いてもよろしいですか?」
白井「書いてもよろしいけど、天真伝一刀流兵法という本を弟子に書かしてあるから買いなさい。」
◆「失礼致しました(ただほど怖い物はない)買わせていただきます。」
白井「うむ、まず忘れる事三つとは、敵の体、我の体、我の剣だ。」
◆「はい、瞑想の最高状態ですね。」
白井「うむ、効能を簡単に言うとだ剣の四戒が生まれるのはその三つのせいなのだ、勝よ四戒を言ってみな。」
勝「はい、一つ、掛け声や、体格に恐れを感じて心身が委縮する[恐]
二つ、相手の不意の行動に驚き、自分を失い適切な行動が出来ない[驚]
三つ相手の動作に何か疑わしものを感じ、自分自身の心にも疑いが生れ自滅をする[疑]
四つ、打つか?それとも受けるか?心が惑い定まらない[惑]です。」
白井「うむ、その通り、四戒は疑心暗鬼を生む、うまく使えば式神の術にもなるが…聞きたければまた来てくれ、次に覚える事三つ、真空、丹田、ノビ、だ。」
[疑心暗鬼とは疑いの心が闇に鬼をつくる、これ即ち心の鬼、式神である]
◆「未知の言葉です、丹田しかわかりかねます。」
白井「そうだな、真空といのは万物の気が満ちている空間の事、これにて敵をつつみこむのだ、丹田は天地より集めたる気を凝縮させる場所だ、ノビはその集めたる気を剣先より数キロ先までほとばしらせる、籠屋のつきだした天秤棒みたいなものだな、皆避けて通る。」
勝「これに当てられて目が眩んだのですね」
◆「私もこの働きを三角矩に入れています、丹田、剣先、一里先、の三角矩です。」
白井「ほう、その三角矩は一刀流にはないが奇しくも我が流儀のノビと同じ形をしているな、記しておけば良かったかな」
◆「はい、この三角矩を使うと遠山の目付にもなり十分な練丹がなき者でもそれなりの効果がでます。」
白井「実はな八寸延金はノビのことに置き換えたのだ、あまりの威力の奥義なりて悪用されても、困るからな」
勝「え?八寸は二十㎝のことではなかったのですか?」
白井「まあ、そのことでもあった、ノビを感得してから八寸の八は末広がりにて無限の延びを表すものであって数字ではないのだよ。」
◆「そうでしたか、では現代人にはわからないので八寸は二十㎝の歩法として、ノビは気として記しておきます。」
[現在八寸延金は、剣先より八寸伸ばす気、を意味することが多い、しかしそれではノビとそのノビの体得以前の八寸延金と違いが説明つかない、寺田には八寸延金は通用していないと言うこともあり二つは全く別次元の技である 著者]
白井「うむ、面白いのう、また日を改めて空が白むまで語りあかしたいものよ」
そんな不思議な武術談義を見ていると、皆がこちらに気がついたようです。
◆「おや〇〇さんお久しぶりですね、そんなところで見ていないで、こちらで話をしませんか?何か質問があればどうぞ‥時間も遅いので一つだけ」
あとがき
剣術のまほろばについて‥まほろば、花伝書、修行神髄、稽古神髄を参考にした極意をちりばめ、修行途中から奥伝にいたる三人を登場させました、まほろばとは、居心地の良い場所との意味もあります、三人は出たり入ったりしてもずっと中西道場にいりびたりのようです、三人のまほろばという意味も込めています、願わくば自身のいる道場もそんな場所にしたいものです。
ところでこれは小説のフリした極意書です、稽古に行き詰まった時気分転換にお読み下さい。
思えば剣道部に入ってから甲野善紀氏の本を読みその中でも特に白井享、寺田宗有に憧れを持ちました。
岡林先生が急逝されもっと習っておけばよかった、あれを聞いておきたかった‥との思いを叶えるべく最終章は夢の中での武術談義と致しました。
最後の行の質問の仕方です、どうぞ付録をお読みになりなんなりと質問下さいませ。
付録
最終章は誰でもご利用いただけるよう夢殿の入り方を記しておきます、播磨の国に伝わる播磨陰陽道の夢の極意です。
夢の世界は、とても複雑な世界です。この世界は、潜在意識が見せる世界や、その他 の様々な世界を含んでいます。しかし、この世界のことを......簡単に言うと、夢の世界 とは「霊界」のことです。他の夢も、様々あるので......霊界のことを「あの世」とか 「霊の世界」と呼んで区別しています。これは伝承に、
もともと この世ならぬ あの世のこと......例の世界を差し て 霊と呼ぶは 言い得て妙なり
......とあります。霊の世界としての夢の集まる場所を、夢殿の呼ぶこともあります。
そこには、訪問者としての「生きている人」と......住人としての「死んでしまっ た人々」がいます。通常は、この世界では......心が、思うままの映像を、見せるので ......意識はその場所を感じることがありません。また、他の種類の夢と区別しづらいの で......あえて指定して「夢殿」へ行くことが必要となります。それにより、他の人や、 夢の国の住人から様々な情報を引き出し、現実の世界で役立てることが出来るようにな ります。例えば、この事例として、本を読むことがあります。現実には、存在すら知ら ない本を......細部にわたって読んだ後......現実で、その本に出会うこともあります。あ るいは、自分で何か想像しようとした時......夢の中で完成した状態を見ることがありま す。夢の記憶に基づいて、「実際の完成品を発明した」と言う事例は......歴史の 出来事の中にも、多く見られます。
夢の集まる場所とアクセスの仕方について
古伝に曰く、
夢の集まりたる場所あり 夢殿と伝う
この「夢殿」と呼ばれる場所に、すべての夢が集まります。特に、夢殿を指定して入 るには、夢殿祭文と呼ぶものを使います。これは、同時に二種類を、使うものです。
ひとつは、祭文で、
とおかみのみたまや
夢殿の 開かせ給え 迎へ入れ給え
......を、心の内で唱え続けるものです。これは、意識がなくなるまで唱える必要が、 あります。
今ひとつは、イメージを、心の中で作ることです。つまり、目の前の暗闇が、チラチ ラと光りを放ち......そこに、あるがままに、心を目に集中し、見えたもの、聞こえたも のを、また、心でイメージします。この時の注意店点は、恐ろしいものが見えたからと 言って、恐れないことです。恐怖は、常に心を閉ざす鍵になるので......心を閉じないこ とが肝心です。これらは訓練の方法です。この方法で、少しは夢の中での自己意識を持 てるようになったら、時々、正確に指定した夢の世界へ行くことが出来るようになりま す。確実に行っていても、それとは、分からない場合が多いです。ですので、区別する 方法や、自在に意識のままに行動する方法についても、学ばなければならなりません。
鍛錬して慣れてくると、もっとピンポイント的な「夢の場所」に行く祭文を、使う こともあります。
それは、例えば、自分の過去や未来の夢や現実の中であったり......他人の夢や現実、 或は、何百年も前に生きていた人の心の中に入って、必要な情報を得る為に使います。
ただし、聞くことの出来るのは、一度にひとつだけです。また「答えが理解出来 ない場合」と言うものもあります。
それは、例えば、古語で答えたりした場合のことです。そのような場合が多いので... ...よくよく古い言葉に精通しているか、もしくは、すぐに調べられる環境を、整えてい なければならならないのです。(尾畑雁多夢の講座より抜粋)
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